私は、Macminiがお弁当箱に使えることを初めて知りました。

注)お弁当箱にはなりません。
要約しない要約
いつ頃からかAmazonの製品レビュー欄に「AIによる既存レビューの要約」という機能が実装されていた。
大量の玉石混同レビュー達を圧縮して製品について教えてくれるなんて、とっても便利なサービスのように感じるが、実際はあまり役に立たない。
というのも、この要約、内容と文脈がまったくめちゃくちゃなのである。例えば、防水機能がない製品に対して防水加工が施されていると説明したり、「リーズナブルな価格が評価されている」という文章の次には「価格設定については疑問の声が挙がっています」と書かれていたりする。
私感ではあるが、こうしためちゃくちゃなレビューは、膨大な数のレビューが投稿され、尚且つ高評価と低評価が入り混じっているリーズナブルな製品、特にガジェット系に多く見られる傾向にあると思う。逆に、高価で一定のクオリティが保証されている製品、つまりユーザーのレビューの集合が比較的固まっている製品は、正確な要約がなされている場合が多い。
つまり、「 令 和 最 新 版 」に支配されたAmazonの傾向を踏まえると大半は鶏レベルの要約であるということだ。
しかし、AIは時に「高価でクオリティが高い製品」であってもはっちゃける。
なかでも秀逸だったのが、驚くべきサイズダウンを遂げた現行のMac miniの要約。

初めから中盤にかけては真面目に要約されているのだが、それも最後の一文で水の泡。
確かにMac miniのサイズを「お弁当箱」と表現しているレビューはあるものの、それに該当するレビューは、たったの3件(何故これを抽出したのか)。そして当然のごとくそのレビュアーは実際にMac miniを弁当箱として使用しているわけではないのである。
もし、「お弁当箱」という表現を比喩だと理解し、その上でユーモアとして取り入れているのなら大したものだが、まぁ、おそらく違うのだろう。
広告と要約
3月末には日本語圏でも対応機種でApple Inteligenceが使える様になり、Amazonレビューだけでなく、メールやら通知やらといった日常生活の一コマにもAIによる「要約」つまり「自分の頭を介さない情報のかいつまみ」が浸透し始めた。
元々人間(の脳)は、楽をすることが大好きな元々ナマケモノ生物である。AIによる要約によってこうした傾向は今後この性質が強まるだろう。何でもかんでもAIが間に入って簡素化してくれるのなら、数十年後には、人間は三大欲求にのみ従事する動物に進化出来るかもしれない。
けれど、よくよく考えてみれば、こうした「自分の頭を介さない情報のかいつまみ」は何もAIに始まったことではない。SNSなどでよく見るレコメンド機能は言わずもがな、テレビや新聞などもそうである、さらに遡れば「書かれたことば」もその一つ。
しかし、要約の進化とは、単純な情報の圧縮の進化では無いことにも留めておかなければならない。圧縮の過程で、第三者の意思が介在する事もある。すなわち、広告のことだ。

もし、ChatGPTに広告が掲載されたならば、OpenAIは一晩にして世界一の広告代理店となれるのではないか。看板バナーなどというまどろっこしい方法は要らない。ただ、少し含めて答えるだけで如何様にもなる。
現に、ChatGPTの回答について、まず疑い、ソース元までたどっている人はどれだけいるだろうか?そこに第三者の誘導が紛れ込んでいる可能性はどれほどあるだろうか?
今のところChatGPTの開発元であるOpenAIは”現時点では”ChatGPTに広告を挿入すること”を考えてはいないらしいが、しかし、あっちもこっちも広告だらけ、単純接触効果信仰の権化である現代において、その方針が今後もずっと継続されていくとは思えない。
近い将来において生成AIに広告が掲載されたならば、懸命な人々は、なるべくチャットを使わないようになるかもしれない。しかし時すでに遅し、チャットによる受動的で素早く簡潔な情報探索に慣れきってしまった彼らの頭は、能動的で鈍く駄長な「ググる」を受け付けないだろう。
きっと「なぜ、アフィリエイトリンクだらけのまとめサイトが上位に表示されるんだ」とか「”お役に立ちましたか?”だと!ふざけるのも大概にしろ」とか言い出すに違いない。